セイントジャックスホテルにはまだ帰れない

一人暮らし24歳の無駄満喫ブログ

愛おしい骨 キャロル・オコンネル

 

 

 

愛おしい骨 - キャロル・オコンネル/務台夏子 訳|東京創元社 より

十七歳の兄と十五歳の弟。二人は森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、時が止まったかのように偏執的に保たれた家。何者かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつひとつ置いてゆく。一見変わりなく元気そうな父は眠りのなかで歩き、死んだ母と会話している。何が起きているのか。次第に明らかになる町の人々の秘められた顔。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。著者渾身の大作。解説=川出正樹

*第1位『このミステリーがすごい!2011年版』海外編
*第1位『ミステリが読みたい!2011年版』海外篇/サプライズ部門
     /ストーリー部門 第3位/ナラティブ部門 第3位/本格部門 第4位
     /キャラクター部門 第5位
*第4位〈週刊文春〉2010ミステリーベスト10 海外部門
*第8位『2011本格ミステリ・ベスト10』海外ランキング

 

 

 

主人公オーレンは、元アメリカ陸軍の犯罪捜査部で辣腕をふるった准尉であり、少年時代に「天使」と呼ばれたほどの超美男子で、10代の頃から、街じゅうの女たちの目を惹きつけていた。弟のジョシュも同様。
そして次々に出て来るのが、「幼女の頃から寄宿学校に入れられ、母親に捨てられたという思いを抱き続けてきた鳥類学者」「アルコールに溺れ、塔の部屋に半ば軟禁されている、その美しき母親」「天才児として育ち、あこがれの警察官になったのに、ある事件で障害者となってしまった大邸宅に暮らす男」「かつて期待された新人作家でありながら、ゴシップライターとなってしまった屈折した元小説家」「元判事で夢遊病に悩むオーレンの父」「怪物と呼ばれ、巨大な肉体を誇る凶暴な図書館司書」「ホテル経営者の妻で、かつてオーレンを若いツバメにしていた熟年美女」「身元不明で抜群に頭の切れる家政婦」などなど。 後半には、一見ふつうのおばさんでありながら実は腕っこきの捜査官、という刑事コロンボの女性版みたいな警察官も出るし、悪知恵の固まりみたいなイヤミ弁護士もいる。
さて、いかがでしょう。この「影の濃い」キャラたちのオン・パレード。読んでいる途中で「これ、どんな人物だっけ?」と思わせるような人は一人もいません。どの人物も初登場の場面で、いきなりくっきりした印象を残します。この造形力は、とても素晴らしかった。

 

眠れない夜が続くとき、通勤通学の電車内、ぽつんと出来た時間のあいだに少しずつ読むのをおすすめします。

 

川出正樹さんによる書評はこちら。

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